ご挨拶
キッチンの窓から甲子園筋の街路樹が目に入ります。芽吹きの新緑に始まり、紅葉そして落ち葉と四季の移ろいを感じながら日々のお菓子造りに励んでいます。お菓子造りの道に入って50年になります、その内45年をドイツ菓子一筋に歩んで参りました。先輩のお世話でドイツに渡り、ドイツの生活の中で彼らの好きな言葉に感銘を受けました。
「Klein aber fein(小さくても良いものを…質実剛健)」
その言葉は何度も耳にし、店のオーナーや先輩からも教え込まれました。その言葉に過酷な気候風土の中を工夫と忍耐で生き抜いてきたドイツ人の魂に触れた思いでした。ドイツのお菓子は派手さもなく、見た目は真に素朴です、しかしその土地で産まれた素材を知り尽くし生かした、その見事なまでの製法が伝えられているのです。そこに私はたまらない魅力を感じたのです。
この20坪足らずのキッチンから生み出すドイツ菓子、そしてその伝統の製法を応用して創るオリジナル菓子を、日々お客様にお届けできることを菓子職人として至上の喜びとしております。
真心を込めてお造りいたしましたお菓子をご賞味いただけましたら幸せです。
シェフ 大隅 稔雄